今回は,前回の記事で取り外したFITダンパーのオイル交換です。FOXのFITダンパーは,ダンパー内に空気が混入することを許容しない構造であるためオイル交換は工夫が必要となります。日本の輸入代理店では,分解してオイル交換する方法と非分解のまま新オイルを循環させる方法の2種類紹介しており,今回の作業では前者に挑戦してみました。
FITダンパーを万力などに固定して13㎜のスパナで黒い筒と赤い矢印で示した銀色のパーツを切り離します。13㎜スパナがかかる部分は幅が狭く,薄口スパナを用意する必要がありますが,今回はグラインダーでチュンチュン削って対応しました。
いざ作業を開始すると… 黄色の矢印部分から緩んでしまいどうにも赤矢印部分から緩んでくれません。黒い筒部分を脱脂してゴム手袋で掴めば外れると紹介されていましたが何度試してもダメ。二人かかりでも無理でした。
画像 FITダンパーを固定した様子
こうなったら作戦変更です。
分解せずオイルを循環させて古いオイルを排出させます。
この場合の手順は文字にすると長いですが以下の通りです。
非分解でのFITダンパーオイル交換方法
1.ダンパーロッドを伸ばし切った状態でプラダ(上端のゴム)が凹んでるのを確認して全長を計測する。
2.ダンパーロッドを押し込み,プラダが凹みも凸にもなってない中立状態にする。
3.2の状態にあるロッドの全長を計測してストローク量を記録する。※重要
4.トップキャップのロックアウトアッセンブリを反時計回りに緩める
5.シリンジを差し込む
6.オイルを排出するためにダンパーロッドを押し込み,プラダを軽く握る。
7.スポイトでオイルを捨てる。エア噛み防止のため全部捨てたりロッドを伸ばさないように注意する。
8.新しいオイルを40㏄程度シリンジ内に入れる。
9.ゆっくりとダンパーロッドを伸ばしてプラダを凹ませていた手を緩める
10.このとき,エア噛み防止のために油面を常にシリンジ内にあるよう維持し,必要があればオイルを追加する。
11.エア抜きのため5分程度放置する。
12.ゆっくりとダンパーロッドを押し込み,再度5分程度放置する。
13.エアが上がってこないのを確認したらプラダを優しく揉む。
14.11-13の工程を繰り返す。
15.オイルを入れ替えて14の工程を行う。
16.ダンパーロッドを3で計測した数値から-7mmになるようにロッドを押し込む。
17.ロックアウトアッセンブリを取り付ける。決して強く締め付けすぎない。 固定されている状態=ロックアウト状態
18.脱脂して組み付ける。
これが推奨されているやり方ですが,一つ問題がありました。
なんとダンパーロッドを伸ばし切ってもプラダが凹まない…。 それどころか微妙にプラダが膨らんだままの状態な気がしますが,とりあえず無視して作業続行です。
まずはトップキャップ側にある頭が8角のボルトを緩めて取り外します。
本来は赤いはずですが,薄汚れたオリーブオイルや劣化したDOTフルードみたいな色になっています。
FITダンパーを直立のままインナーロッドを押し込み
FOXの専用シリンジを挿して新オイルを投入します。使用するオイルはFOX指定のRedオイル10wt
オイルで手がべたべたになっているので画像はこれだけです。
4回程度オイルを循環させるとかなりきれいになりました。
最後はダンパーロッドが伸びきった状態でプラダが凹むように油量を調整して終了です。
本来はFITダンパーのオイルは35.2㏄前後と指定されていますが,この交換方法では確かめることは出来ません。
インナーとアウターケースを合体させて終了です。この際にインナーとアウターを潤滑するためにオイルを左右のレッグそれぞれに注入します。
油量はそれぞれFOX Green 10wt TALAS側 10cc FITダンパー側 30ccです。
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